日本で「英語が必要だ!」と思っている人は少なくありません。
あらゆる企業でTOEICをとることが奨励されていたり、TOEFLやIELTSといった海外留学のための資格が有名になってきたりしています。
「英語が必要だ!」と叫ばれる背景には、グローバリゼーションがあります。言いかえれば、たくさんの外国人と交流する機会が増えてきたので、英語が話せなければいけない、という考えが広まってきました。
しかし、「グローバリゼーション」=「英語が必要だ!」という図式ができたのはなぜなのでしょう?
今回は、そもそも「グローバリゼーション」ってなんだろう?というところから、中間になにがあって、私たちは「英語が必要だ!」と思うようになったのか、そしてどんな英語が必要とされているのか、それを何回かに分けて考えてみていきたいと思います。
「グローバリゼーション」とは?
まずはWikipediaを参照してみました。
グローバリゼーション(英: Globalization, Globalisation)とは、社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家や地域などの境界を越えて、地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象である。グローバル化ともいう。つまり、グローバリゼーションとは「インターナショナル(国家間)」を超えてより大きな規模での文化間さらには人種間の交流と言うことができます。
その交流の重要な共通項となっているのが英語です。
ここで気づきたいのは、英語は単純に二者間の障害になっている「言語」という壁をとりさらうためにあるものでしかないということです。
たとえば、ここに韓国人がいるとして、あなたは何語で話しかけますか?
韓国語で話しかけるのが相手のためになるかもしれません。
ですが、あなたは韓国語の「か」の字も知りません。
なぜでしょうか?
韓国語があなたのまったく「外」にある言語だからです。日本で生まれ、日本で育っているかぎり、特殊な場合をのぞいて韓国語にふれる機会はありません。なので当然韓国語を話せるはずがありません。
英語で話しかけるのが、コミュニケーションをとれる可能性がいちばん高い方法でしょう。
なぜなら英語なら、あなたは学校で勉強したことがあるし、相手も自分の国で英語を勉強してきました。おたがいの言語を話そうとするよりよっぽど伝わる可能性が高いのです。
韓国人の相手はとても上手に英語を話すかもしれません。
韓国の英語教育は日本よりいいし、理にかなっているからです。
ですがそれでも彼らが話すのは、アメリカ人がつかう英語でも、 イギリス人がつかう英語でもありません。
この英語はグローバリゼーションによって生まれた「英語」です。
私たち日本人は「英語」 となると、どうしてもアメリカ英語やイギリス英語を想像せずにはいられません。そしてその流暢な英語を話せなければ、恥ずかしい、と考えます。
グローバリゼーションによって取り上げられている「英語」は、別次元のものです。
アメリカ英語やイギリス英語を想像する前に、インド英語やシングリッシュ(シンガポール人の英語)を想像してください。
アメリカ人の友人が以前に話していたことですが、シンガポール人は独特の発音や彼らだけが使う言い回しを使うので、理解するのがむずかった、と言っていました。
地球がこれだけ広ければ英語もさまざまなかたちに変わっていきます。
「英語」は決してひとつではないのです。
私たちはネイティブのようになるまで「恥ずかしい」と思いつづけなければいけないのでしょうか?
バイリンガルが話す英語は、カタコトでもつたなくても「英語」です。インド人もシンガポール人も自分たちの話す英語が恥ずかしいとはちっとも思いません。
私たち日本人がすべきことは、自分の「外」にある英語とどう向き合って自分の「内」にどのように積み上げていくのか、それが大事です。
私たちはネイティブ・スピーカーにはなれません。
私たちはバイリンガルの英語を話します。
そして「内」に蓄えた「英語」をつかうことで、世界を舞台にすることができるのです。
You Tubeにアップされているバイリンガール英会話のChikaさんが、「アジア人が英語を話せて、日本人が話せない理由」という動画で、日本人は「日本人英語」をつくればいい、と提案しています。
たしかにみんなが「日本人英語」を話すようになれば、きっとだれも英語を話すことを恥ずかしいと思わなくなると思います。
ですが残念ながら現在の日本社会では、そういった環境が生まれることはなさそうです。
もう一度「グローバリゼーション」とはなにか、という点にもどります。
グローバリゼーションとは私たちに身近な言い方をすれば、言語の異なる人たちとの交流や異文化をより深く感じる体験です。
英語はそのための手段でしかありません。
それよりも大切なのはあなたの人間性です。
多くの人がこの点で「英語」を誤解しています。
「英語さえできればもっといい仕事に就けるのに」
「外国人の友達がほしいけど、うまく英語を話せないからなぁ」
まずはじめにそういった考え方をする傾向にある自分自身を変えなければいけません。
「この仕事についてより有意義な人生を送りたい。だから英語を学ぼう」
「カタコトでも日本以外のことをもっと知りたい。だから英語を学ぼう」
その姿勢がグローバリゼーションの波に乗るための大事な一歩です。
次回は「グローバリゼーションの影響力」を見ていき、なぜ「英語が必要だ!」と考えるようになったのかについて書きたいと思います。
参考
バイリンガール英会話「アジア人が英語を話せて、日本人が話せない理由」
https://www.youtube.com/watch?v=gy__2hH5IWY